北朝鮮のミサイル性能 日本のイージスアショア 2022年随時更新版

PAC-3



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北朝鮮情勢が緊迫しております。

2017年の状況

2017年4月13日、アメリカのNBCテレビは、北朝鮮が6回目の核実験を強行しようとした場合、アメリカ軍が通常兵器によって「先制攻撃」を行う準備に入ったと報じました。

アメリカ第3艦隊所属の第1空母打撃群・原子力空母「カール・ビンソン」(母港:サンディエゴ)を中心にした艦隊が朝鮮半島に展開しています。

カール・ヴィンソン(CVN-70)には、アメリカ海軍・第2空母航空団(CVW-2)のF/A/18F戦闘攻撃機「スーパーホーネット」が約50機程度搭載されています。
艦載機の任務と、地上配備戦闘機の任務とは一概に同じと言えないので、比較するのは無理があるかも知れませんが、日本の航空自衛隊の主力戦闘機F-15は、国内に約200機配備されていますので、アメリカの空母1隻で25%の攻撃機を賄っているとも言えます。

アメリカ海軍の現在運用中である空母打撃群は、第1、第2、第3、第5、第8、第9、第10、第11、第12の計9つの艦隊になっています。


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なお、アメリカ太平洋艦隊で、横須賀基地配備の空母ロナルド・レーガン(CVN-76)は、第5空母打撃群所属で、まだ横須賀に停泊していますので、今回の作戦には今のところ参加していません。
どうやら、レストア中なようで、動かせない模様です。

ただし、アメリカ海軍の太平洋艦隊の指揮下にあるのが、東太平洋を担当する第3艦隊(空母4隻)と、西太平洋・インド洋を担当する第7艦隊(空母1隻)の2つとなります。
そのうち、今回は、シンガポールから中国をけん制したあと、オーストラリアを目指していたカール・ビンソンとミサイル駆逐艦2+ミサイル巡洋艦1の命令が変更されて、北上命令が出たと言う事になります。

2017年4月10日のニュースによると、ミサイル駆逐艦などイージス艦を構成する水上戦闘群(ミサイル駆逐艦2他)が、3月末に米西部のサンディエゴから西太平洋へ出航しており、4月10日の段階でハワイ付近との事です。
また、どうやら、太平洋艦隊・第11空母打撃群の空母ミニッツ(CVN-68)も、急きょ、太平洋を西に向かっているようです。(複数のニュースより確認)
恐らく、アメリカ海軍としては16隻程度のイージス巡洋艦・駆逐艦と空母2隻、+潜水艦(数は不明)の配備になると存じます。
潜水艦はすでに、少なくともロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦「コロンバス」が展開中です。
グアム・アンダーセン空軍基地では1機2000億円と、世界で一番値段が高い飛行機(航空機)であるアメリカ空軍のB-2戦略爆撃機(ステルス爆撃機)が冷暖房完備のハンガー(倉庫)にて温度・湿度を調整されながら3機待機しています。
※ちなみに、イージス艦のあたご型護衛艦で約1500億円。

なお、2003年のイラク戦争の際にもアメリカ海軍は、原子力空母は2隻体制を取っています。
ただし、この時は国連決議採択を試みようとしましたが、今回の北朝鮮情勢は、国連にも掛けておらず、危ない側面もあります。



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4月11日より、外務省は、韓国への渡航者および韓国に在住している日本人に対して、在留届の提出、または緊急情報提供システムへの登録を求めています。

なお、4月12日付けの記事によると、日本の海上自衛隊の護衛艦も、カールビンソンと一緒に北朝鮮をけん制するため、日本近海で共同訓練を行うことを検討しているとあります。

かつての旧日本海軍でもそうですし、他国の軍隊でも同様なのですが、過去の歴史において開戦前には「演習」「訓練」と称して、艦隊を展開していることが伺えます。
例えば、日本海軍がハワイ真珠湾を攻撃した際にも「演習」として艦隊が出撃し、択捉島の単冠湾に集結して、ハワイに向かった訳です。

岩国基地では、最新鋭のF-35攻撃機が、精密誘導爆弾の搭載訓練を行いました。
沖縄の嘉手納基地では4月12日に、基地の航空戦力を一斉に出撃させる訓練が行われています。
下記は、ゴールドフィン米空軍参謀総長のTwitterより。

当然、アメリカ軍は「通常の訓練」だと答えていますが・・。

トランプ大統領は、シリア政府軍が化学兵器を使用したとして、59発の巡航ミサイル「トマホーク」をアメリカ単独で発射したと言う「決断力」も見せています。
なお、中国はエアチャイナの平壌(ピョンヤン)路線を閉鎖する他、未確認ですが、中国軍も北朝鮮の国境に集結しつつあると言う情報や、中国の潜水艦20隻が朝鮮半島を睨んで配備されたとの情報もあります。

なお、北朝鮮との武力衝突が発生した場合、アメリカ軍は最初に北朝鮮の新浦級潜水艦を打撃すると考えられます。
弾道ミサイルを水中発射できる潜水艦です。
また、中国海軍の潜水艦が新浦級潜水艦を追跡・監視すると考えられますが、中国は長年、北朝鮮の後見国として暴走を放置・手助けしてきた面があります。
しかし、今回はトランプ政権から「貿易赤字の不問」といった見返りもあるようなので、アメリカと連携するものと考えられます。

4月21日、日本政府は内閣官房のホームページに、弾道ミサイル攻撃を受けた際の避難方法を掲載しました。
政府もアメリカと念密に情報交換していますので、攻撃を受ける可能性が高まっていると言う事が言えるだろうと存じます。

ただし、北朝鮮の指導部は、金正恩政権の維持が一番の目的です。
高官らは現在の地位や待遇がはく奪されるのを一番恐れていますのでね。
戦争再開した結果を考えれば、アメリカの脅しに屈して、何もしないと言うこともあり得ますが、自暴自棄になる可能性も無きにしも非ずで、よめません。
すべて、金正恩氏次第です。

このような差し迫った状況ですので、気になる北朝鮮のミサイル攻撃能力と、日本における弾道ミサイル防衛体制を調べてみました。
2017年8月現在の情報です。

2017年8月には、北朝鮮がグアム島周辺に4発の弾道ミサイルを発射する計画があると発表したことで、再び緊張が増しています。
8月12日からはPAC3が、グアムに向かうミサイルの通り道となる、日本の中国地方と四国地方の4箇所に緊急展開することも決まりました。
出雲駐屯地、広島県の海田市駐屯地、松山駐屯地、高知駐屯地にそれぞれ到着しています。
なお、PAC3の高射部隊は航空自衛隊しか所有していませんので、空自の部隊が陸自の基地に配備されると言う、かなり特別な対応となっています。
戦前の陸軍と海軍では指揮系統が違って、難しい面も多かった連携ですが、融通の利いた展開となっています。

そんな中、意表を突く形で、2017年8月29日の朝5時57分頃、日本上空に向けて北朝鮮が弾道ミサイルを発射。
6時3分頃、全国瞬時警報システム(Jアラート)が北海道など12道県に緊急配信されました。
弾道ミサイルは3段式だった模様で、最大高度550km、約14分間飛翔。
最大高度550km、距離は約2700km飛び、北海道・襟裳岬の東1180km付近の太平洋上に着弾したとみられています。
後日、北朝鮮は、火星12号と発表しています。

2017年9月3日に北朝鮮が北核実験したあとの国連決議を受けると、2017年9月15日朝6時57分にICBMを発射。
最大高度は770kmと通常軌道である可能性があり、約3700kmの飛距離で、北海道・襟裳岬の東2000km付近の太平洋上に着弾したとみられています。
北朝鮮はグアムを射程に入れていることを実証しました。

2017年11月、ロナルド・レーガン(CVN-76)、セオドア・ルーズベルト(CVN-71)、ニミッツ(CVN-68)」の空母3隻をはじめ、アメリカ海軍のイージス巡洋・駆逐艦11隻などが参加し、日本海で演習が行われました。
韓国海軍からはイージス駆逐艦2隻を含む7隻の戦闘艦が参加します。
しかし、韓国側が韓日米訓練に同意しなかったため、日本の開示用自衛隊は、韓国の作戦区域(KTO)に向かう米空母打撃群と同行だけして、KTO内では韓米艦艇のみが訓練することになりました。

2017年11月29日、2ヶ月半沈黙していた北朝鮮がICBMを日本海に向けて発射。
アメリカが北朝鮮をテロ国家として再認定したのに反発したと推測されます。
今回は過去最大となる高度4000kmを越えており、ミサイル能力としては最大射程10000km程度を有していると推測され、当初は火星14号が能力をフルに発揮したものと推測されました。
その後、北朝鮮は新型の火星15号であると発表しています。

2018年2月、韓国での平昌オリンピックでは、開会式にて北朝鮮が韓国と朝鮮統一旗をもって一緒に入場するなど、融和ムードが広がりました。
その後、4月末に南北首脳会談が開催されることが決定し、5月までには北朝鮮とアメリカが首脳会談を行うことが決定しています。

それでは、北朝鮮のミサイル情報に移ります。
北朝鮮から東京までの距離は約1200kmとなります。
サンフランシスコは9000km、ワシントンは11000km。

その後、北朝鮮のミサイル発射は回数がどんどん増えた。
下記は2022年1年間の状況。

2022年北朝鮮ミサイル発射リスト

01月05日朝 1号 HGV ※飛距離はMRBM相当
01月11日朝 2号 HGV ※飛距離はMRBM相当
01月14日夕 3、4号 SRBM×2 ※鉄道発射型
01月17日朝 5、6号 SRBM×2
01月25日朝 7、8号 GLCM×2
01月27日朝 9、10号 SRBM×2 
01月30日朝 11号 IRBM
02月27日朝 12号 ICBM予備実験
03月05日朝 13号 ICBM予備実験
03月16日朝 失敗 ICBM火星17(推定)
03月20日朝 カウントせず(多連装ロケット4発)
03月24日夕 14号 ICBM 
04月16日夕 15、16号 SRBM×2 ※新型小型SRBM
05月04日昼 17号 ICBM予備実験?
05月07日昼 18号 SLBM?
05月12日夕 19、20、21号 SRBM×3
05月25日朝 22号、失敗、23号 ICBM予備実験?とSRBMまたはHGV?
06月05日朝 24号~31号 SRBM×8
09月25日朝 32号 SRBM ※ダム湖からSLBMを発射
09月28日夕 33号、34号 SRBM×2
09月29日夜 35号、36号 SRBM×2
10月01日朝 37号、38号 SRBM×2
10月04日朝 39号 IRBM ※日本列島越え
10月06日朝 40号、41号 SRBM×2
10月09日夜 42号、43号 SRBM×2
10月12日夜 44号、45号 GLCM×2
10月14日夜 46号 SRBM
10月28日昼 47号、48号 SRBM×2
11月02日朝夕 49号~54号 SRBM×4、GLCM×2 ※SAM×23は除外
11月03日朝夜 55号~60号 ICBM×1、SRBM×5 
11月05日昼 61号~64号 SRBM×4 
11月09日夕 65号 SRBM×1
11月17日朝 66号 SRBM×1
11月18日朝 67号 ICBM×1 ※火星17
12月18日昼 68号、69号 MRBM×2 ※衛星試験ロケット(ノドン)
12月23日夕 70号、71号 SRBM×2 

発射成功71発・発射失敗2発

ICBM 発射成功7回(全力発射3回・予備実験4回)
IRBM 発射成功2回 ※ICBM予備実験は飛距離はIRBM相当だが含まず
MRBM 発射成功4回 ※HGV2発と衛星試験ロケット2発
SRBM 発射成功52回 ※SLBMを含む
GLCM 発射成功6回
発射失敗2回 ※3月16日の失敗は新型ICBM「火星17」。
2022年5月25日の失敗は詳細不明。

北朝鮮が保有しているとみられるミサイル性能

北朝鮮は地上配備のミサイル発射基地を少なくとも12箇所要している。
ただし、大型トラックでの移動型、列車移動型などもあるため、どちらかと言うと神出鬼没で事前撃破が難しいと言える。

短距離弾道ミサイル(SRBM)

スカッドER (液体燃料ロケット・自走式ミサイル発射30分以上) 
射程300km~1000km 弾頭770kg~1000kg(核弾頭12kt~70kt) 化学弾頭可能
スカッド用の発射機で運用できる。

KN-02(トーチカ) (液体燃料ロケット・道路移動式ミサイル発射5分)
射程160km 弾頭500kg(核弾頭5kt) 化学弾頭可能
ロシア製の固体燃料一段式の短距離弾道ミサイル「トーチカ」の北朝鮮版。
※着弾平均誤差半径CEP100m

スカッド精密誘導型(KN-17とも)
中距離対艦弾道ミサイルで、スカッドに操舵翼を装着し、精密誘導を可能にしたミサイルとなる。
射程は300~600kmの短距離弾道と推定されており、移動発射機は戦車を改造したもの。
北朝鮮の発表では、海上の艦艇を攻撃できるとしているが、移動している目標に命中させる能力は不明瞭であり、陸上目標の精密攻撃用が主な用途と推定される。
コードネーム「KN-17」は、火星12号(ファソン12)をKN-17とする報道もあり、混乱している。

潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)潜水艦発射型

KN-11(北極星1号) (固体燃料ロケット)
射程1000km以上か? 弾頭600kg(核弾頭5kt) 化学弾頭可能
※着弾平均誤差半径CEP2000m
朝鮮人民軍海軍の新浦級潜水艦に1発搭載可能だが、この潜水艦はまだ1隻しか就役していない模様

KN-13(北極星3形) (固体燃料ロケット)
2019年10月2日に日本海に向けて発射を確認。
射程1000km以上か?

準中距離弾道ミサイル (MRBM)

ノドン(火星7号)(液体燃料ロケット・道路移動式ミサイル)
射程1500km~2000km 弾頭700kg(核弾頭12kt~50kt)化学弾頭可能
移動発射機は10輪式重野戦機動トラックで、日本全土を射程に収める。
※着弾平均誤差半径CEP2000m

KN-15(北極星2) (固体燃料ロケット・道路移動式ミサイル)
射程2000km以上、弾頭重量不明。
潜水艦発射の北極星1号を、戦車改良の車両に搭載して地上発射型にしたもの。
ミサイル収納容器からガスによりコールドランチで発射され、空中でロケットモーターに点火し、上昇していく方式。
発射準備が数分で済み、射程は1200km以上と推定され、日本攻撃用に使用される可能性が高い。

中距離弾道ミサイル(IRBM)

ムスダン(火星10号)(液体燃料ロケット・道路移動式ミサイル)
射程3200km~4000km 弾頭650kg~1200kg(核弾頭12kt~50kt)化学弾頭可能
移動発射機は12輪式重野戦機動トラックを使用。
※着弾平均誤差半径CEP1300m

テポドン1  (液体燃料ロケット)
射程2000km 弾頭1000kg(核弾頭12kt~50kt)化学弾頭可能
※白頭山1号(ペクトゥサン-イロ)、銀河1号(ウナ-イロ)
※着弾平均誤差半径CEP3000m
8発発射実験したなかで成功したのは1発だけだったとされている。

火星12号(KN-17) (新型の液体燃料エンジン)
中距離弾道ミサイル(IRBM)で、射程は5000km程度の模様でグアムを射程内に留めている。
2017年4月15日の軍事パレードに登場したミサイルと考えられる。
衛星ロケットとしての打ち上げは成功したが、弾道ミサイルに必要な再突入体(RV)の実験は行われていない。
その後、2017年8月には北海道上空を越えて太平洋へ2700km飛翔、2017年9月には3700km飛翔すると言う成功を収めている。

2022年1月30日にも日本海に向けて発射。
これは北朝鮮の国防科学院と第2経済委員会などが、中距離弾道ミサイル「火星12」を高角度の「ロフテッド軌道」にて発射実施したと伝えている。

2022年10月4日、日本でKアラートが発動。
北朝鮮の発射は午前7時22分で、日本では7時27分にJアラートが発令され2分後の7時29分に日本上空を通過、7時44分頃太平洋に落下している。
マッハ17、催行高度1000km、飛行距離は約4600kmで過去最長の模様で、火星12型と見られている。

大陸間弾道ミサイル (ICBM) 地上発射基地・地下サイロ発射

テポドン2改良型 (液体燃料ロケット) 
射程6700km~13000km 弾頭1000kg(核弾頭12kt~50kt)化学弾頭可能
※着弾平均誤差半径CEP5000m

火星14号(KN-20)
大陸間弾道ミサイル(ICBM)で、移動発射機は16輪式重野戦機動トラックを用いている。
射程は9000km~10000km程度でアメリカ本土にも到達可能と考えられている。
2017年7月に2発が発射成功したとみられている。
なお、火星13号が存在していたことが明らかとなった。
しかし、火星13号(KN-08)は、1度も実射されないまま、大きく改良されたのが火星14号と見られている。

火星15号
大陸間弾道ミサイル(ICBM)で、2017年11月29日に青森沖に向けて発射し成功したと北朝鮮が発表。
最大高度は4475キロに達し、約53分にわたり飛翔した。
最大射程は1万3000kmとも考えられ、北朝鮮はアメリカ全土を射程に収める新型だと称している。

火星17号(KN-28)
大陸間弾道ミサイル(ICBM)で、2022年3月24日に青森沖に向けて発射。
ミサイルは最大頂点高度6248.5キロまで上昇、距離1090キロを4052秒(67分)間飛行したと北朝鮮が発表。
火星17の最大射程距離が1万3000km~1万5000kmに達すると推定され、アメリカ全土を射程に収め、東海岸にある首都ワシントンやニューヨークも十分に攻撃可能な射程と考えられる。
火星17は全長約25~26メートルで直径は2.8メートル。

イスカンデル短距離弾道ミサイル?

2021年3月25日、日本海に発射した新型弾道ミサイルで、北朝鮮は「低高度滑空跳躍型飛行方式」と述べている。
これは、イスカンデルの飛翔軌道と言う意味でして、なおかつ、北朝鮮の発表通り、2.5トンの搭載能力(ペイロード)があるとすると、核弾頭の小型化に成功しているのか、それとも、小型化できずミサイルを大型化されたのか?と言う事になる。
もし、イスカンデル短距離弾道ミサイルだとした場合には、ロシアが開発したもので、車両に搭載される移動式の戦域弾道ミサイルで、このミサイルを基本として、北朝鮮が製造した可能性がある。
このイスカンデル・ミサイルは、弾道ミサイルより低い軌道を取り、低高度で変則軌道で飛行し、飛行最終段階には回避行動を行い、自動で目標に着弾する。
そのため、迎撃するのが、非常に困難。
ただ、イスカンダルの場合、搭載能力が2.5トンもあるとは考えにくいので、まだ、どのようなミサイルだったのかは、なんとも言えない。

上記のように、これらのミサイルは、通常よりも低高度を飛翔し、変則的な軌道で飛翔可能とみられる。

超音速ミサイル

2021年9月には「極超音速ミサイル」と称するミサイルも発射。
極超音速兵器は、マッハ5を超える極超音速で飛翔するとともに、弾道ミサイルと比べ、低い軌道を長時間飛翔し、高い機動性を有するミサイル。
速度が速いため、迎撃する時間も限られ、着弾した際には被害も大きくなるのが特徴。

列車発射型ミサイル

固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイルで、2021年9月15日に鉄道線路上から発射された。
その後も、何度か列車搭載型ミサイルの発射実験を行っており「鉄道機動ミサイル体系」と称している。
例えば、トンネルの中で燃料注入など発射準備を行い、トンネルから出てすぐに発射するなどが可能となる模様。

新型短距離弾道ミサイルは主に3種類の派生型がある模様で、北朝鮮はそれぞれ下記のように呼称している。
「新型戦術誘導兵器」「戦術誘導兵器」「超大型放射砲」
射程距離は400km~600km程度と考えられている。

北朝鮮ミサイル名前の意味

北朝鮮ではミサイルの種類別に星の名前を使用しています。
対戦車ミサイルは水星(現在は火の鳥)、対艦ミサイルは金星、移動式の地対地ミサイルが火星、固定発射の弾道ミサイルは木星と呼んでいますが、由来は不明です。
ただ、飛ぶ距離と用途に応じて、ミサイルの名称を分けているものと伺えます。

参考

トマホーク巡航ミサイル
射程2500km 弾頭450kg(核弾頭5kt-200kt)化学弾頭可能
※CEP10m

北朝鮮の化学兵器と核兵器

北朝鮮の戦略ロケット軍ミサイルは、少なくとも全部で1000発以上保有していると考えられています。
北朝鮮は最大5000tの青酸ガス・神経ガスを保有していると考えられ、生物兵器に関しては「コレラ」「黄熱病」「天然痘」「発疹チフス」「腸チフス」「赤痢」など13種類の細菌・ウイルス兵器を保有して模様です。
核兵器もいくつか保有していると考えられていますが、北朝鮮「朝鮮人民軍」のミサイル性能に搭載できる核としては核爆弾の小型化が必要だと考えられます。
核弾頭を小型化する場合、強化原爆あるいは水爆と言う事になりますが、まだ技術は習得されていないとも考えられています。
ただし、通常の核爆弾は保有している模様です。

液体燃料と固形燃料

液体燃料のミサイル・ロケットの場合、常に燃料をミサイルの燃料タンクに入れておくことができないので、発射する直前に燃料を「注入」する作業が伴います。
そのため、発射の準備を事前に察知することができると、発射される前に「先制攻撃」が可能となります。

しかし、固形燃料ミサイル(固形燃料ロケット)の場合、あらかじめ固形の燃料を搭載しておけるため、発射したいときに5分~10分程度で、すぐに発射可能となります。
要するに、発射準備を事前に察知できる時間が限られるのと、仮にすぐに発射準備していると察知できても、仮に日本付近から攻撃ミサイルを撃っても、北朝鮮に到達するまで10分程度要します。
そのため、先制攻撃をしたとしても、着弾する前に、北朝鮮は発射していたと言う状況になる可能性も高くなってしまいます。
となると、発射されたミサイルを「迎撃」するしかありません。

なお、北朝鮮のミサイルに使用される、固体燃料製造機械は、日本の粉体関連機器のメーカーが、1994年に貨客船「万景峰号92」にて新潟から不正輸出していたことも判明しております。

問題なのはCEP

北朝鮮のミサイルで問題なのは「CEP」です。
CEPとはミサイルが着弾した目標場所への平均誤差半径です。
要するに、ミサイルの制御性能が劣ると、狙った場所に当たらないので、その誤差の平均値がCEPとなります。
アメリカが開発した巡航ミサイル「トマホーク」はCEP10mと言われていますが、北朝鮮の弾道ミサイルは、どれも1km~2km程度の着弾誤差があるようです。
弾道ミサイルでなくても、北朝鮮が対艦ミサイルで、アメリカの艦船を狙った場合には軍艦は動いていますし、北朝鮮のミサイルが追尾できるのか?、これは撃ってみないとわからないと言うのが現状です。
そのため、ミサイルで狙うとしたら、誤差があっても被害を与えられる地上の基地や、敵に政治的ダメージを与えやすい首都など都市部への攻撃となるのではないでしょうか?
しかも、狙ったところにピンポイントで当たらないと言う事であれば、誤差などあまり関係のない、より被害を広範囲に与えられる種類の弾頭を搭載する可能性も高い訳です。
となると、撃たれたミサイルは、到着する前にすべて「迎撃する」必要性が生じます。

このように日本の基地施設、原発(原子力発電所)など、重要施設に、北朝鮮の弾道ミサイルが直接命中する確率は、ゼロとは言えませんが、あまり考えられません。

日本のミサイル防衛体制

航空自衛隊・陸上自衛隊

11式短距離地対空誘導弾(短SAM)
射程距離不明(数km)
1トラック格納容器4本
ワンセット約22億円?

陸上自衛隊 高射特科(16中隊)

03式中距離地対空誘導弾(SAM-4)
03式中距離地対空誘導弾(改)(SAM-4改)
射程60km以上
1トラック格納容器6本
ワンセット約670億円(システム一式=1個高射特科群=4個高射中隊)

航空自衛隊 (24高射隊)
地対空誘導弾ペトリオット(PAC-2)
対弾道弾射程20km、1基4発発射可能
地対空誘導弾ペトリオット(PAC-3)
射程20km、1基16発発射可能、取得費用1発=2億5000万円
34基展開中(約400発)
※PAC-2とPAC-3の混合配備

なお、PAC-3は、改良型への更新が進むと命中度・射程距離は良くなる見込みです。

日米共同作戦センター(横田基地)
J/FPS-5警戒管制レーダーは青森県(大湊)、新潟県(佐渡)、鹿児島県(下甑島)、沖縄県(与座岳)に配備。

海上自衛隊のイージス弾道ミサイル防衛システム(リンク16)

こんごう型ミサイル護衛艦
むらさめ型汎用護衛艦
たかなみ型汎用護衛艦
あたご型ミサイル護衛艦
ひゅうが型ヘリコプター護衛艦
あきづき型汎用護衛艦(2代目)
あさひ型汎用護衛艦(2代目)

迎撃ミサイル
艦対空スタンダードミサイル
SM-2 SAM
SM-3 ABM
射程1200km
1艦4発搭載のSM-3は、大気圏外でも迎撃可能

アメリカ海軍の弾道ミサイル迎撃(日本配備)

弾道ミサイル監視艦
アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「フィッツジェラルド」、「カーティス・ウィルバー」、「ジョン・S・マッケーン」、「ステザム」、「ラッセン」、「マスティン」「マクキャンベル」

※駆逐艦フィッツジェラルドは、20億円かけて最新鋭に改装されたばかりでしたが、2017年6月17日未明に伊豆半島沖で衝突事故を起こし、長期修理に入っています。
※駆逐艦ジョン・S・マケインは、2017年8月21日、マラッカ海峡で商船と衝突したため、修理に入る見込みです。

弾道ミサイル迎撃艦
タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「シャイロー」
イージスシステムBMD3.6搭載

SM-3(ブロックIA) 射程1200km
SM-3(ブロックIIA) 2018年より順次配備

在日アメリカ陸軍の地上配備PAC-3は、約400発。
有事には米本土からTHAADを含めた増援部隊が派遣されます。

上記のような体制から、日本の主要基地と3大都市への攻撃に関しては、概ね3段階のミサイル迎撃チャンスがあります。
ただし、都市でも郊外や地方に関しては、実質的に、日本海に展開している艦艇からのスタンダードミサイルと、自衛隊などの基地に配備されているPAC-3や短SAMの迎撃と2段階になるところもでてしまいます。

アメリカの在日陸軍に関しては、2500名と実戦部隊は駐留していませんので、基地防衛能力も期待はできません。
アメリカ海兵隊は沖縄に駐留ですが、岩国基地には最新鋭のF-35戦闘機が展開しています。
ただし、航空機からのミサイル迎撃は、ミサイルが発射されてから出撃では時間が間に合わず、ミサイル発射前には上空にいないと、迎撃できないと言う事になります。

以上、北朝鮮の攻撃により、日本が被害を受ける場合、戦車や航空機、また艦艇による攻撃はほとんど考えられません。
陸で繋がっていないので、地上部隊は来ないでしょうし、制空に関しても圧倒的に日本の防衛能力の方が高いです。
そのため、日本が攻撃される場合、ミサイルによる攻撃が大半となると考えられます
ただし、長距離ミサイルの場合、大気圏外に一度出て、落下してくると言う「弾道」を描くように飛来しますので、迎撃にも高度な能力が必要です。
発射されると九州で5分程度、関東で10分程度にて着弾すると考えられますので、発射されたら即応できる防衛体制も必要です。
24時間体制で、F-15JやF-2などを何機か日本海に常時飛ばしていると、さらに強化はできるとは思いますが、そこまでできるかどうかは疑問が残ります。
当然、国会や安倍総理の判断を仰ぐようなことをしていては、間に合いませんので、一応は、自衛隊に対して弾道ミサイルの破壊措置命令が常時発令となっています。

那覇基地のF-15戦闘機

しかし、本当に細くて速いミサイルを撃墜・迎撃できるのか?
現状の日本のミサイル防衛能力は、アメリカに次ぐ高度な技術と配備が行われていると考えられます。

イラク戦争で実戦経験のあるPAC-2の場合、撃墜率はわずか9%です。
PAC-3は実戦経験がまだありませんが、性能は向上しています。
SM-3に関して、アメリカのミサイル防衛局(MDA)は迎撃率84%としています。
ただし、SM-3のブロックⅠAは、性能未発表ですが、高度500kmが限界と言われています。
要するに、2017年9月3日に北朝鮮が発射したICBMは日本の上空750kmの大気圏外を通過したと見られていますので、通過時に迎撃することは難しいのです。
よって、日本に落下してくる時点での迎撃となります。
撃墜できずさらに接近したミサイルをPAC-3などで迎え撃つ訳ですが、当然、これも100%撃墜できるというわけではありません。
多弾頭で落下してくれば、もっと難しいでしょう。
しかし、現在、人類が持ち合わせるミサイル迎撃能力としては世界最高水準と言えます。
すなわち、数が充分かどうかは議論が分かれるかと存じますが、日本としてもできることは、やっていると言えます。
もちろん、迎撃が成功するかどうかは、別として・・。

ただし、PAC-3は、部隊数にも限りはありますし、射程距離も僅か20kmなので、基地に配備されている地域以外は、基本的に「最後の砦」が無いと言う事です。

なお、撃墜したとしても「破片」は落下してきます。
PAC-3の射程距離は上記に記載したとおり、20kmしか無いので、仮に東京が標的となり、市ヶ谷に配備しているPAC-3が迎撃して、ミサイル撃墜に成功したと仮定すると、練馬区あたりに破片が落下すると言う事です。
ただし、破片そのものは、爆発する恐れも少ないですので、まともにミサイルが命中するよりは、大幅に被害を軽減できます。
化学兵器が搭載されていると、撃墜地点で散布されてしまうと言う事もあり得ます。
ただし、空中で化学物資の容器が破損して、空中放出された場合には、大気に拡散されるので、ほとんど被害はないものと推定されます。
核兵器は起爆装置が起動しない限りは、爆発しませんので、理論上は無害化できますが、落下したものがどうなるかは、不明瞭です。

また、もっと日本にダメージを与えられると考えられる方法もありますが、敵にヒントを与える感じになってしまうと存じますし、怖くて書けません。
と言うより、そのくらいのことは考えているだろうと思うと、本当に恐ろしいです・・。

簡単な話ですと、金正恩氏が発射指示する前に攻撃して、発射させないと言うのが一番理想的なのですが、日本は「専守防衛」のため、先制攻撃はできません。

しかし、日本政府も考えておりまして、最新鋭の「イージスアショア」と言う防空システムを導入する方向で調整に入っています。



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そもそも、戦争と言うものは、孫子の兵法にもあるように「攻撃は最大の防御なり」でして、これは間違いありません。
例えば、現代戦の戦争ゲーム(戦略ゲーム)をしていても「先制攻撃」が勝ちに繋がる訳です。
敵が攻めて来るのを待つ作戦では、守備部隊を展開していても、防御が弱いところを敵は突いてきます。
ノルマンディー上陸でもドイツの防御が弱いところに、兵力を集中させて成功しています。
よって、敵の侵攻を防ぐためには専守防衛などと理想を言っていても、勝てません。
国民の命と財産が掛かっていますのでね。

では、相手に打たせないためには、どうすれば良いのか?
現状としては、やはり「抑止力」しかないのかな?と感じてしまいます。

イージスアショア

イージスアショアと言う聞きなれない言葉がでて参りましたが、イージスアショアとは、現在、海上自衛隊にイージスシステムがあるように「陸上」でも使いましょうと言うものです。
最近は陸上イージスなんて報道されることも多くなってきました。
ヨーロッパでは、中東からのミサイル攻撃に備えて、ルーマニア・ポーランドに建設が開始されています。
海上艦艇で使用するイージス・システムの地上配備型ですので、さんざん実験済みで信頼性の高いシステムとなります。
そのため、SPY-1レーダーやC4Iシステム、Mk41ミサイル垂直発射システム(VLS)、ディスプレイ、電源・水冷装置など、アーレイ・バーク級イージス艦の設備が、そのまま陸上でも使用されるのです。

なお、イージスアショアの導入は、日本全土をカバーするのに2基地あれば、大丈夫との事です。
大きな国でなくて良かったなと思えるような話ですね。
秋田駐屯地と山口駐屯地へ2023年中の配備が検討されています。
ちなみに、韓国に配備されたTHAAD(サード)で対応しようとすると、6基地は必要だと言うのでコストも高いようです。
なお、イージスアショアは新兵器と言う事ではなく「リンク・システム」ですので、SM-3やPAC-3といった既存の高射部隊(地対空ミサイル)とリンクさせて、早期迎撃と効率が良い迎撃態勢を整える事ができます。
現状としては、陸自自衛隊の高射部隊、航空自衛隊の高射部隊、海上自衛隊の護衛艦は、現在、ひとつのミサイルが迫ってきても、連携が取れていない状態でして、各個の判断で迎撃するわけです。
まだ、陸海空で連携させるまでは発表はありませんが、このイージスアショアで陸海空のシステムが繋がれば、より効率の良い大気圏外(宇宙空間)で迎撃する防空体制が整うと言う事です。
なお、対地攻撃には使えないようですので、専守防衛の日本としても問題ないのです。
しかし、導入には早くしようと思っても、数年かかる見込みです。

日本政府は、この陸上イージスに、多機能型の対空ミサイルSM-6も適用させて、対艦・対地の巡航ミサイルも迎撃できる体制をとる見込みです。
地上配備型迎撃システム「イージスアショア」には、米ロッキード・マーチン社製の最新鋭レーダー「LMSSR」を搭載すると発表もありました。
海上自衛隊のイージス艦搭載のレーダー「SPY1」と比べると、探知距離は2倍以上になります。
イージスアショアに、最新鋭レーダー「LMSSR」を搭載すると、1基(本体)は1340億円です。
配備候補地の秋田県、山口県の施設整備費などを含めると、最終的には4000億円以上になる見通しですが、イージス艦1隻でも約1500億円しますので、そんなに高価な負担なく防衛能力の大幅向上が見込めそうです。

イージスアショアの基地新設に際しては、地元の皆様は反対するかと存じます。
しかし、迎撃基地があると言う事は、その地元は、他地域よりも軍事的に安全とも言えます。
ただし、基地が攻撃を受けると仮定した場合の防衛体制はSM-3だけでは不十分ですので、ファランクス(全自動20mm機関砲)を最低2セット以上の常設設置を求めて交渉すると言うのが良いかと存じます。

なお、2020年6月、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備プロセスを停止すると防衛省が発表しましたので、付け加えさせて頂きます。
事実上、ミサイル防衛は、海上自衛隊のイージス艦に託されることになり、海上自衛隊では隊員を増やす計画となっています。
恐らくは、まや型護衛艦、あたご型護衛艦の対空レーダーを、最新のAN/SPY-6(V)4に換装して、レーダー能力を強化しつつ、新規でイージス艦を増強するものと推測されます。

記載している数値などはあくまでも参考で、実際には異なる場合があります。
また、何か動きがありましたら、内容の追記、もしくは新規記事追加をさせて頂きます。
誰ひとり、命を落とすことなく、このページに記載した情報が、まったく無意味なものであったと笑える世の中になることを願うばかりでございます。

(参考)防衛白書、38ノース

北朝鮮の核爆弾50ktの威力や破壊力は広島型と比べてどのくらい強力なのか?
航空自衛隊や海上自衛隊にはアメリカ軍と北朝鮮を攻撃する能力はあるのか? 専守防衛とは
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高田哲哉日本の歴史研究家

投稿者プロフィール

高田哲哉と申します。
20年以上、歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して史跡も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

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