超音速対艦ミサイル解説 対艦ミサイルどのくらい速いの?

超音速対艦ミサイル解説



超音速飛翔の空対艦ミサイル(対艦誘導弾)は、どのくらい速くて、どのくらい優れているのでしょうか?
超音速対艦ミサイルの別名は「イージス艦キラー」とも呼ばれます。
これは、防空能力に優れているイージス艦でも、攻撃されるミサイルの速度が早ければ、対処できる時間が短く、また、対処できたとしても、超高速の物体を迎撃・命中させるのは至難の業であるためです。

もともと、空対空ミサイルは、マッハ4~5程度の超高速にて、敵機のスピードよりも速いので、逃げられずに撃墜できます。
対空戦闘の場合、航空機を撃墜するだけであれば、ミサイルの爆薬なども少なくて良いので、細いミサイルで良いので、軽量でもあり、速度も上げられます。
しかし、対艦ミサイルとなりますと、敵艦に打撃を与えるのには、それなりの爆薬量も必要なため、重量もあり、ミサイルも大型化します。
そのため、大きなミサイルを高速で飛ばすのは、難しかったのですが、最近は、エンジンの性能向上にともない、対艦ミサイルでも、高速化をはかれるようになってきました。
なお、ミサイルのスピードが速ければ、艦艇への衝撃も強いので、被害を大きく与えられると言うメリットもあります。



中国では大型の爆撃機から発射する、対艦ミサイルYJ-12は、海面上でマッハ2.7で、射程が150km前後ともされます。
行動半径3500kmを誇る、中国海軍のH-6J爆撃機に搭載できます。
最大7発のミサイルを搭載できるため、アメリカ海軍にとって、H-6J爆撃機は大変脅威です。
射程300km以上、マッハ4~マッハ6ともされる、超高速の「CM-401対艦弾道ミサイル」もH-6爆撃機に搭載できるとされています。
ただし、弾道ミサイルは、基本的には自然落下のため、動く小さな目標には当てにくいのが特徴です。
しかし、ものすごく飛翔速度が速いので、迎撃するのは、ほぼ不可能ともされ「空母キラー」とも呼ばれます。
もちろん、核弾頭も搭載されますが、核を使うのは核戦争になることを覚悟したうえでとなりますので、実際に核を撃つかどうかは、なんとも言えません。

なお、マッハ2.7のスピードは、どのくらい速いのか?と申しますと、時速にしますと、3333.96km/hとなります。
日本の国土の長さとして、北海道の稚内から沖縄・那覇まで、3572.3kmですので、そのあいだを、YJ-12ミサイルは約1時間で飛べる速度と言えます。



日本も手をこまねいている訳ではなく、超音速対艦ミサイル「ASM-3改」を開発中です。

ASM-3改は、ラムジェットエンジンの後部に固体ロケットブースターを統合したミサイルで、最大マッハ3以上の超音速飛行できるとされています。
更にはステルス性を向上させ敵からの探知を軽減しているだけでなく、複合シーカーのアクティブ/パッシブ複合誘導レーダー方式を採用し、敵からの電子妨害対策が施されていて、敵艦艇への到達率を高め、撃破できる可能性が高いミサイルになります。
射程は200km程度と、少し短めなのが気になるところです。
ただし、航続距離を更に倍増させて400kmにする計画もあるようです。
これは、中国の対艦ミサイルの飛行距離が伸びてきているため、日本も、それなりの距離を飛ばせるミサイルが必要となったためです。

でも、問題があります。
まず、ASM-3改は、大きさの問題で、ステルス戦闘爆撃機F-35A、F-35Cのウェポンに入りません。
また、制御・管制のコンピューターの問題もあります。
アメリカ製の戦闘機では、ASM-3改を飛ばすプログラムが入ったコンピューターがありません。
そのため、F-15の最新改修版F-15JSIでも、難しいのです。
現状としては、国産のF-2戦闘機に2発搭載するのが、やっという感じです。
ただし、AMC(アドバンスド・ミッション・コンピューター)がまだ開発されていませんので、事実上、現時点では使えません。
航空自衛隊F-2戦闘機の最大速度はマッハ1.7、航続距離は半径2000kmになります。
F-2戦闘機は、現在、首都防衛の百里基地に第3飛行隊、九州防衛の築城基地に第6飛行隊・第8飛行隊と、合計120機ほどが配備されています。



F-2の後継機となる、次期新型戦闘機の開発も決まっており、当然、ステルス性を重視して、ミサイルは内部武器庫(ウエポン)に搭載される見込みです。
その次期の新型戦闘機に、ASM-3改と言った、国産の超音速ミサイルが対応すると考えてよいでしょうが、その場合、新型機(F-X)は、国産や、日本主導の開発であることが大事になります。
日本では、2035年頃から、新型戦闘機の配備を想定しています。
開発費を抑えるのであれば、同じ時期になるイギリスの次期戦闘機「テンペスト」の日本版を考えるのもひとつの手です。
ただ、その場合、国内の軍需産業が育ちませんので、将来のことを考慮しますと、少し開発費が高くても、純国産がベストと言えます。

なお、F-35にて有効な最新ミサイルを配備するのであれば、ノルウェーが開発中の巡航ミサイル「Joint Strike Missile(JSM)」が最適と考えられます。
JSMは、もともとF-35戦闘機への搭載を目的に設計されており、空対艦ミサイル、空対地ミサイル、巡行ミサイルとして運用ができる見込みです。
現状としては、F-35に搭載できる唯一の巡航ミサイルで、射程は約300km(500kmとも)、速度は不明(早くはない模様)、F-35A・F-35Cに2発搭載可能ですが、F-35のソフトウェアを「Block4」に更新する必要はあります。
ただし、艦載機型のF-35Bのウエポンには搭載不可となり、翼の下につけるとステルス性が失われます。
その後、日本はこのJSMミサイルを契約しました。
ノルウェー製の対地・対艦ミサイル「JSM」は、2022年3月中旬が予定納期となっています。

まだ、どこでも実戦配備されていない最新型ミサイルを契約したのは、とても素晴らしい判断だと感じます。
ただし、戦闘コンピューターの改修が必要なので、日本のF-35では、2025年頃でないと運用可能にならないと推測されます。



また、防衛省では、マッハ5以上の極超音速で飛行可能な、新型ミサイルの開発も行います。
マッハ5のスピードは、時速6174km/hです。
200kmの距離でしたら、僅か2分~3分で、目標に到着すると言う事になります。
事前に対空戦闘の準備ができていなければ、迎撃する許可を取っている暇すらありません。



高田哲哉日本の歴史研究家

投稿者プロフィール

(株)TOLEDO、高田哲哉と申します。
20年以上、歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して史跡も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

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