横田英とは~富岡日記と映画「紅い襷」富岡製糸場物語のヒロイン和田英




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群馬県富岡市が企画し、NHKエンタープライズが製作する映画「紅い襷 La Chronique de TOMIOKA~富岡製糸場物語~」にも登場する、横田英に関してご紹介致します。

この横田英(よこた-えい)は、幕末の安政4年(1857年)8月21日に、松代藩士・横田数馬の次女として生まれました。
母は、横田亀代子(横田亀代)です。

1857年と言うと、1854年に締結された日米和親条約に基づいて、下田にて日米下田協定が結ばれた年です。

ちなみに、松代藩の横田家と言うのは、大河ドラマ「真田丸」にも登場した、真田幸村の兄・真田信之が藩祖です。
よって、横田英の父・横田数馬は真田家の家臣となります。
横田家は150石の中級武士でした。

1873年(明治6年)、普通に育ちやがて結婚するであろう横田英に転機が訪れます。

父・横田数馬ら9名が資本金2000円を出資し、借入金1000円の合計3000円にて、同じ明治6年2月に、民間蒸気製糸場となる「六工社」の建設を始めたのです。
その影響もあり、父の事業にて疲弊した松代の経済復興、そして家名を守とる為、横田英は国内唯一の官営・富岡製糸場へ伝習工女として入ることになりました。
この時、松代からは16名の女性が富岡製糸場にて製糸技術を学びました。

河原鶴(川原鶴)(13歳)、金井新(14歳)、和田初(25歳)、酒井民(17歳)、米山嶋(18歳)、坂西滝(15歳)、長谷川淳(14歳)、宮坂しな(14歳)、小林高(21歳)、小林秋(16歳)、小林岩(17歳)、福井亀(18歳)、塚田栄(17歳)、東井留(21歳)、春日蝶(17歳)。
そして、横田英子(横田英)は17歳でした。

横田英は、この富岡製糸場で学んだ約1年5ヶ月と、松代に戻ってから六工社で働いた記録を、のちに「日記」として記しています。
この日記は「富岡日記」と呼ばれ、女工の労働環境や日々の生活、労働倫理や事業への女性の参加意識などを知る、非常に優れた史料として価値があります。

日記の冒頭は、富岡製糸場へ行くことになった経緯(いきさつ)が記載されています。
大くの家では、年頃の娘を出すのに反対していたため、まずは区長であった父が率先して娘を出そうと言う事になったようです。
しかし、富岡日記を読む限りですと、横田英の本人は「私の喜びは書き表せないほどだ」と記していますので、行けることが嬉しかったようです。
横田英が富岡製糸場に行く話が広まると、あれよあれよと16名定員となり、あとから応募した人は却下されたともあります。

安中に向かうまでの道中の話や、富岡製糸場で働く女性は、どこから来た者は上品だとか、そうでないとか、手紙が飛脚では無く初めての郵便で届いた時の驚きなど、なかなか読んでいて面白い日記です。
そして、精進して「一等工女」になった時には、涙がこぼれたとあります。
給料も上がり、毎朝、仕事場に行くのが楽しみだとも記載されています。

そして、横田英らは、明治7年7月7日故郷に戻りました。
正装した松代の人々に大名行列のように出迎えられたとあります。
7月9日には、六工社製糸場を揃って見学し、11日から製糸の仕事を始めていますが、横田英は筆頭女工となったようです。

六工社では、次第に現場のやり方に口を挟む経営側と団体交渉や、繭不足での休業、ストライキなどオモシロイ日記となっています。

明治13年に退職した横田英は、軍人・和田盛治と結婚した為、和田英(わだ-えい)と言う名でも知られます。
一緒に富岡に行った和田初子の弟が、ご主人・和田盛治でした。

明治41年(1908年)から大正2年(1913年)にかけて回想記「富岡日記」を書き残し、昭和4年9月26日になくなりました。享年73歳。
墓所は、長野市松代町の蓮乗寺です。

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富岡日記 (ちくま文庫)

ちなみに、横田英の弟・横田秀雄(よこた-ひでお)は、帝国大学の法科大学(現在の東京大学法学部)を卒業し、のち大審院長を務めています。
大審院(だいしんいん)と言うのは現在の最高裁判所です。

また、もうひとりの弟・横田謙次郎は、鉄道大臣になるなど、横田家の教育はしっかりしていたのでしょう。皆、優秀です。


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映画は、2017年12月2日(土)に日本全国で公開されました。

なお、長野市松代町の生家は「旧横田家住宅」として国の重要文化財となっており、保存・公開(有料拝観)されています。

旧横田家住宅

富岡製糸場「工女姿」のキャラクター「おエイちゃん」(富岡市イメージキャラクター「お富ちゃん」)のモデルは、横田英です。

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高田哲哉日本の歴史研究家

投稿者プロフィール

高田哲哉と申します。
20年以上、歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して史跡も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

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