吉本せい~吉本興業の創業者で「おせいさん」と親しまれた明治の女興行師とは

吉本せい



スポンサーリンク


吉本せい(よしもと-せい)さんは、兵庫県明石市出身の米穀商の三女として、明治22年、1899年12月5日に生まれました。
本名は吉本勢さんと書き、吉本興業を創業した女性であり「女今太閤」「女小林一三」と呼ばれ、大坂に「笑い」をもたらした女性となります。

18歳のころから、大阪上町本町橋の荒物問屋である「箸吉」(はしよし)の息子・吉本吉兵衛(本名:吉本吉次郎、通称:吉本泰三)と生活を始めました。
箸吉は高級料亭に「箸」を納める商売をしていたようです、吉本吉兵衛の吉兵衛は、代々、吉兵衛を称していたことから、そのような名前となっています。
せいの実家から歩いて30分ほどの距離にあったようですが、吉本吉兵衛は、根っからの遊び人で、芝居見物が大好きでした。
しかし、単に好きな訳でなく、芸人や落語家もビックリするほど、見識は高かったようです。



スポンサーリンク


なお、店の経営は良くなかったようで、1909年に市電を通すために、元町通りが拡張された際、店は立退きとなり、廃業しました。
この間、せいは、家を失った吉本吉兵衛を実家に住まわせたのが、一緒に生活を始めたキッカケです。
1910年4月、20歳のときに結婚しましたが、その後もしばらくは、せいの実家に引き続き住んでいたようです。

11月には、長女・吉本喜代子さんが誕生し、2男・6女に恵まれましたが、その多くの子供は早世しています。

1911年7月に、吉本吉兵衛の父が隠居したのを受け、1912年4月には、夫婦にて天満八軒のひとつとされる大阪市北区天神橋の「第二文芸館」を購入し、小さいながらも寄席経営をはじめました。
飲食店や土産物屋と並んで8軒の寄席があったと言います。
1913年には、大阪市南区笠屋町(現・大阪市中央区東心斎橋)に吉本興行部(のちの吉本興業)を設立しています。

その後、花月派と言う上方落語の諸派を結成すると、次々と寄席を買収して、他の諸派を吸収し上方演芸界全体を掌握しました。
大正時代には、大阪だけでなく東京・横浜・名古屋・京都・神戸も含めて約20もの寄席を経営しています。

なお、夫の吉本吉兵衛は1924年に急性心筋梗塞(または脳溢血とも)にて死去たため、その後は吉本せいがひとりで切り盛りしていくことになりました。



スポンサーリンク


ラジオが普及すると、1930年(昭和5年)12月7日に桂春団治がNHK大阪放送局のラジオで寄席を行います。
吉本としてはラジオにて無料で落語を披露しては、寄席の営業に差し障りが出るとしてラジオ出演を禁じており、無断で出た桂春団治はしばらく寄席出演を禁止とされました。
しかし、桂春団治が寄席に復帰した途端、多くのお客さんが押し寄せたため、1934年(昭和9年)以降は、ラジオ出演を認めています。

1935年(昭和10年)頃には47館の直営劇場・寄席・映画館を所有し、吉本に所属する芸人は約1300人もいたと言い、横山エンタツ・花菱アチャコ・柳家金語楼・柳家三亀松・川田義雄のといった5大スターを輩出しています。
また、プロ野球・巨人軍の共同経営にも参画しただけでなく、映画製作も手掛け、1938年(昭和13年)には新世界の通天閣を買収しました。

ちなみに、二人の子である吉本穎右は、歌手で女優の笠置シヅ子(かさぎ-シヅこ)と交際していましたが、吉本せいが後継者にと考えていた事もあり当初反対します。
しかも、吉本穎右自身が1947年5月に24歳の若さで亡くなったことから、結婚には至りませんでした。
1947年(昭和22年)と言うと、笠置シヅ子の「東京ブギウギ」が大ヒットした年です。
なお、笠置シヅ子は吉本穎右の死から数日後に女児を産みましたが、服部良一や榎本健一らの励ましで、歌手を続けています。

話は戻りますが、吉本せいの実の弟には林正之助がおり、のち東京吉本社長を務めた林弘高も親族となります。
太平洋戦争が激化すると、国策に協力して、芸人を中国大陸などに派遣し、通天閣も焼けたため、資材を国に提供しています。



スポンサーリンク


1948年には、吉本興業株式会社に改名し、吉本せいは、会長に就任しました。
終戦後は、その混乱で寄席の復活は難しく、進駐軍専用のキャバレー「グランド京都」をオープンさせたり、映画製作を行って乗り切ります。

芸人からは「おせいさん」と呼ばれて慕われた吉本せいですが、戦後、軌道に乗った吉本興業を見届けて、1950年3月14日に亡くなりました。

2017年の連続テレビ小説「わろてんか」キャスト・出演者一覧リスト【NHK朝ドラ】
葵わかなさん~NHK朝ドラ「わろてんか」のヒロイン藤岡てんの役どころなど
堀田真由さんの魅力がたっぷり見れそう~妹の藤岡りん役に決定
徳永えりさんが演じる「トキ」のやくどころ~NHK朝ドラ「わろてんか」
岡本玲さんが演じる「杉田楓」の役どころ~朝ドラ「わろてんか」
通天閣を初めて楽しむ方法~大坂の定番スポットで失敗しない方法
朝ドラ「わろてんか」毎週のストーリー・次回のあらすじ



スポンサーリンク


高田哲哉日本の歴史研究家

投稿者プロフィール

高田哲哉と申します。
20年以上、歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して史跡も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


スポンサーリンク


Twitterfollow

共有御礼申しあげます



スポンサーリンク
ページ上部へ戻る