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北海道函館市にある箱館要塞跡の砲台跡です。
今でこそ、夜景で有名な函館山ですが、明治に入ると函館山は軍事要塞化が進められ、山全体に砲台や発電所、観測所など17の施設や大砲が設置され、1902年(明治35年)に箱館要塞が完成しました。
太平洋戦争が終わるまでの間、一般市民は立入禁止となっただけでなく、函館山を写真撮影するのも禁止となり、地形図からも函館山が削除されたと言います。
下記の写真は御殿山第二砲台で、二十八糎榴弾砲(にじゅうはちせんちりゅうだんほう)が6門が配備されていたそうです。
大砲は函館湾の入口方向に向けられていた模様です。
この28センチ榴弾砲は、明治25年から量産された榴弾砲です。
榴弾砲(りゅうだんほう)と言うのは、高仰角の射撃を得意な砲身の短い大砲と言うのが特徴で、海岸要塞用の沿岸砲として用いられました。
最大射程は7800mですが、函館山の標高が300mと高いところからの砲撃ですので、多少は有利に攻撃できる状態だったのだと思います。
1904年(明治37年)の日露戦争では、旅順攻囲戦では戦局打開のため、二十八糎榴弾砲が急きょ日本から第3軍に輸送されて、二〇三高地の戦いでの乃木希典大将の旅順要塞攻略に貢献しました。
また、この日露戦争では、ウラジオストクの巡洋艦隊(ロシア艦4隻)が津軽海峡へ進出しています。
更に「ロシア」「グロモボーイ」「リューリク」の3隻が伊豆沖まで進撃した際には、津軽海峡を往復利用していますが、いずれも射程距離内に入らなかったため、1発の砲弾も発射されることは無かったと言います。
まぁ、現在においてはロシアの原子力潜水艦も、津軽海峡を抜けますが、津軽海峡は国内法により国際海峡(特定海峡)に設定されており通過航行権が認めらているため、沿岸に接近しない限り領海侵犯にはなりません。
2016年2月には中国の駆逐艦・哈爾浜など4隻も津軽海峡を堂々と航行していますが、恐らくは津軽海峡の海底の起伏などを調査したものと考えられます。
太平洋戦争末期の1945年7月14日に函館が空襲を受けていますが、函館山での状況は良くわかっていませんので、恐らく被害も軽微だった模様です。
なお、サイパン島からのB-29ですと、函館は航続距離がギリギリのため、北海道の空襲は主にアメリカ空母からのグラマン戦闘機などです。
また、函館は青森からの「青函連絡船」が航行している関係で、アメリカ艦載機の攻撃目標は、函館の市街地と言うよりは、船舶でした。
函館を警備していた、当時最新鋭の駆逐艦・橘(たちばな)も、正規空母・軽空母18隻から出撃した約100機の襲撃を受け、就役して僅か6ヶ月で撃沈しています。
話がそれてしまいましたが、現在、外国人観光客もたくさん訪れる函館山の山頂展望台の場所には、御殿山第一砲台跡(現在立入禁止)が築かれ、とんがりの山頂を約12m削って平坦地にしたと言います。
函館山への登る道路も、このように軍事目的で開通させた道路であることが分かります。
昭和に入ると使われなくなった戦艦の主砲も追加配備されるなどして77施設となり、津軽海峡全域を担当したため「津軽要塞」と名を改めていますが、実戦で発砲したことは一度もなかったそうです。
函館山要塞は日本の徹底抗戦派のゲリラ戦拠点となるのを恐れ、アメリカ軍は戦後に施設の多くを爆破しています。
2001年「函館山と砲台跡」は北海道遺産に選定されました。
現在、国の史跡指定を目指しているようです。
箱館要塞の御殿山第二砲台は、地下の弾薬庫などは崩落が危険のため立入禁止ですが、砲台跡は見学が可能です。
行き方・アクセスですが、下記の無料駐車場までは、函館山ロープウェイ「山頂」駅からだと下りの道路を歩いて徒歩10分です。
そして、駐車場から歩いて5分ほどで、砲台跡に到着しますが、その駐車場までは、昼間でしたらクルマで登れます。
歩道も舗装されていますので、トレッキングポールは不要ですが、多少狭い階段もあるため、スニーカー以上が良いです。
詳しい場所は当方のオリジナルGoogleマップにて場所がわかるようにしてあります。
駐車場の西側にあるゲート脇から登っていく細い階段を上がって、道なりに進めば辿り着きます。
第2砲台跡を見るだけでしたら、駐車場から観光所要時間約20分です。
夕方や夜間は暗くて危ないですし、冬季も危険ですので、季節が良い時期の明るいうちにどうぞ。
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