世界を代表する浮世絵師4名~世界に影響を与えた「浮世絵」どの浮世絵師に影響されたのか?

浮世絵



ゴジラ、ポケモン、黒澤明監督の作品。日本が生み出した多くのエンターテイメントに、外国人が衝撃を受け、影響されていますよね。
また、2010年に経済産業省が制定した「クールジャパン機構」によって、日本発のアニメや漫画をはじめとする「新しい日本文化ブーム」を発信すべく、国が一丸となって日本のエンターテイメントを発信しています。

ですが、ご存じでしたか?
実は、世界で最初に大きな影響を与えた日本のエンターテイメントは「浮世絵」だったのです!これらは「ジャポニズム(ジャポニスム)」と呼ばれ、世界が熱狂しました。

世界が新しい芸術の価値観・世界観に衝撃を受け、多くの芸術家に影響を与えた「浮世絵」ですが、その発端となった浮世絵師は一体誰だったのでしょうか?

世界に与えた「浮世絵」の影響力!「ジャポニズム」とは?

世界に影響を大きく与えた浮世絵師を紹介する前に、浮世絵がどうやって世界に「ジャポニズム(ジャポニスム)」としての影響を与えたのかを解説します。



「ジャポニズム(ジャポニスム)」は元々、日本趣味をもつ西洋人達のことを指す「ジャポネズリー」が発展した言葉です。
ジャポネズリーは、趣味として日本の美術工芸品を集める人たちを指していましたが、次第に西洋芸術の新しい要素として日本式の芸術を取り入れる芸術家たちも現れはじめます。
そのことから、ジャポネズリーは一転して「ジャポニズム(ジャポニスム)」と呼ばれるようになりました。

趣味としての浮世絵

江戸時代後期、外国船「黒船」の来航に伴い、日本の工芸品や浮世絵が海外に持ち出されるようになりました。
特に、かけそば1杯の値段で手にすることのできる浮世絵には、熱狂的収集家も現れるほど。
浮世絵は世界でも瞬く間に人気となりますが、特にフランスではその人気が爆発!
加えて国際万国博覧会がフランスで開催された折には、日本もそこに参加したことも相まって、日本趣味「ジャポネズリー」が誕生したとされています。



一方、イギリスでも日本文化に対する関心が高く、その発端は、1862年のロンドン博覧会。日本の陶器や日本の置物が脚光を浴びはじめ、芸術家たちの心に火をつけていきました。

何故、浮世絵が世界に注目されたのか?

浮世絵が世界の注目をさらったのには、浮世絵が持つ日本を含む東洋独特の絵画技術にあります。

江戸時代初期に誕生した浮世絵というジャンルは、西洋芸術にはない平面図、輪郭を用いた絵画法により描かれています。
線を重視する絵画方式
は、物や人物をありのままに描く写実画が主流である当時の欧米諸国には存在しませんでした。

また、当時の欧米諸国にとっての芸術作品と異なり、浮世絵は前述の通り「かけそば1杯で楽しめる庶民的な文化」でした。万人に届く民衆文化・浮世絵という新しい芸術の価値観は、西洋人に強く刺さったのです。

当時脚光を浴びた浮世絵に魅了された世界の芸術家を抜粋

では、当時脚光を浴びていた浮世絵に魅了された芸術家は、一体誰なのでしょうか?
浮世絵に魅了され、自分の作品に浮世絵の要素を取り入れていた世界の芸術家を一部抜粋しましたのでご覧ください。

フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ
ピエール・ボナール
エドゥアール・マネ
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
メアリー・カサット
エドガー・ドガ
ピエール=オーギュスト・ルノワール
ジェームズ・マクニール・ホイッスラー
カミーユ・ピサロ
ポール・ゴーギャン
グスタフ・クリムト

誰もが一度は目にしたことのある、有名な芸術家の名前が挙がっていることがわかりますよね。
彼らは、西洋にはない浮世絵ならではの極彩色、平面構図、遠近法、線で描かれた絵に影響され、実際に自分たちの作品にも取り入れています。



例えば、クロード・モネは「ラ・ジャポネーズ」で浮世絵の構図や遠近法と色使いを、「睡蓮」では浮世絵からインスピレーションされた太鼓橋を描いており、実際に自分の庭を日本庭園に仕上げています。

余談ですが、浮世絵独特の「平面構図」は、建築様式であるアールヌーヴォーにも大きな影響を与えています。

平面的な描写をしていた浮世絵が世界に知られて以降、世界の名だたる「日本趣味」を持つ芸術家の画風も大きく変化しています。
特に上記に挙げた芸術家達による作品は、鑑賞する際にぜひ浮世絵の要素をチェックすることをおすすめします。

ジャポネズリーな芸術家は誰に影響された?世界に影響を与えた日本の浮世絵師4人!

世界の名だたる芸術家たちの琴線に触れた浮世絵。
彼らが愛した浮世絵を手掛けた浮世絵師とは、一体どの人物なのでしょうか?
ここからは、世界の日本趣味を持つ芸術家たちに、特に大きな影響を与えた日本の浮世絵師を4名紹介していきます。

1)葛飾北斎

「世界のHOKUSAI」として知られる葛飾北斎(かつしかほくさい)は、江戸時代後期の浮世絵師で、化成文化の代表人物です。
葛飾北斎は、森羅万象をテーマにした浮世絵を多く手掛けており、生涯になんと3万点以上の作品を描きました。
特に、浮世絵「富岳三十六景」によって、葛飾北斎は有名絵師の地位を不動のものにしました。

葛飾北斎が与えた影響力は、世界でもお墨付き!
「LIFE」誌が行った「過去1000年の世界で最も重要な人物100選」にも日本人唯一の86位という順位で選ばれています。葛飾北斎は、20世紀の世界に大きな影響力を与えている浮世絵師なのです。

2)歌川広重

歌川広重(うたがわひろしげ)は、江戸時代の浮世絵師で、安藤広重(あんどうひろしげ)とも呼ばれています。

歌川広重の作風の中でも世界で評価されているのが「ヒロシゲブルー」。歌川広重が織り成す大胆な浮世絵の構図と、鮮やかな藍色が世界の芸術家に刺さり、高い評価を得ています。

また、風景を中心とした浮世絵を手掛けた歌川広重は、ゴッホやモネといった大物芸術家の目にも留まりました。
歌川広重の浮世絵をゴッホが模写したり、前述でも触れたモネが実際に自宅に作った太鼓橋は、実は歌川広重の「名所江戸百景 亀戸天神境内」に出てくる橋をモデルにしたと言われています。

3)喜多川歌麿

喜多川歌麿(きたがわうたまろ)は、江戸時代に活躍した浮世絵師。
背景を描くことはほとんどなく、主に顔を中心とした美人画を手掛けており、そのモデルとなった女性は、遊女や花魁、茶屋の娘など知れず!

喜多川歌麿の描く美人画は、日本国内のみならず海外でも高く評価され、特に日本美術収集家としても活躍した作家のエドモン・ド・ゴンクールは喜多川歌麿の美人画を高く評価しています。その影響もあり、喜多川歌麿の作品の多く作品は海外に流出しています。

特に、イギリス・ロンドンの「大英博物館」をはじめ、フランス・パリの「ギメ美術館」、アメリカの「ボストン美術館」には、喜多川歌麿の手掛けた多数の浮世絵コレクションがあります。

喜多川歌麿の浮世絵に影響を受けた芸術家の中でも、特にポスター作品を描いていたフランスの画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは、浮世絵の平面図だけでなく、喜多川歌麿が遊郭の女性に密着した際に描いた浮世絵作品「青楼十二時(せいろうじゅうにとき)」制作の折と同じ様に、娼家の一室に住み込んで作品を描いていたと言われているほどです。

4)渓斎英泉

渓斎英泉(けいさいえいせん)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師で、美人画をはじめ春画や好色と呼ばれる女性の艶やかさを捉えた浮世絵を描く一方で、風景画の一種である名所絵でも有名でした。
名所絵に関しては、前述の歌川広重との合作経験もあるほどです。

渓斎英泉の浮世絵にインスピレーションを得たのは、なんといってもフィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホです。
彼は渓斎英泉の描いた浮世絵「雲竜打掛の花魁(うんりゅううちかけのおいらん)」を発見し、1887年に模写作品「花魁」を発表しています。

ゴッホの描いた「花魁」は、渓斎英泉の描いた「雲竜打掛の花魁」を反転した描き方で見事に再現しています。
また、ゴッホの作品「タンギー爺さん」の後ろにも「雲竜打掛の花魁」が描かれているほど、ゴッホの中で渓斎英泉は強く影響を受けた浮世絵師だったのでしょう。

ゴッホ以外にも、渓斎英泉ら浮世絵師の描くカラフルで洗練された女性画は、オーストリアの画家グスタフ・クリムトの画風にも影響を与えています。

まとめ

これまで世界で西洋に存在しなかった日本独自の芸術的観点は、欧米芸術に新しい価値観を与え、その先駆が浮世絵でした。
日本ブームを最初に巻き起こした浮世絵師たちは、世界の名だたる芸術家にも影響を与えていることがわかります。
この視点で美術館で浮世絵や世界の芸術家たちの作品を鑑賞すると、彼ら「ジャポネズリー」たちや浮世絵師たちに対して、これまでに考えもつかなかった新しい感情や印象を抱くことでしょう。
これから、美術展などで浮世絵を観る機会がありましたら、ぜひジャポニズムと浮世絵の関係を思い出してみてくださいね。

(寄稿)あさひなペコ

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