浮世絵師「歌川広重」と行く「東海道五十三次」の解説 人気の秘密はここにある

浮世絵



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歌川広重の「東海道五十三次」と言う風景画は、当時の江戸時代の人々だけでなく、現代に生きる私たちをも魅了する作品です。
「東海道五十三次」にはどんな歴史があって、どうして江戸時代の人々、そして現代に生きる私たちが生涯に一度は目にするようになったのでしょうか。今回は、その秘密に迫ります。

歌川広重はどんな浮世絵師?

歌川広重(うたがわひろしげ)は安藤広重(あんどうひろしげ)とも呼ばれる江戸時代の浮世絵師で、幼いころから憧れていた浮世絵の世界に15歳で足を踏み入れ、美人画や役者絵を得意とする歌川派に所属していました。

役者絵、美人画と浮世絵師のキャリアを構築し始めるものの、師である歌川豊廣(うたがわとよひろ)が亡くなった後は風景画を中心に制作を始めました。



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歌川広重の「東海道五十三次」はどんな作品?

歌川広重の「東海道五十三次」は、江戸時代に整備された主要道路である東海道にあった宿場町53箇所を浮世絵に仕上げた風景画です。
37歳だった歌川広重が、有名版元の保永堂(ほえいどう)の依頼を受けて描いたとされています。
歌川広重が実際に1832年に初めて旅をした東海道を浮世絵にしたとか、「東海道五十三次」が実際に描かれる前に東海道五十三次を描いた別作品を模写したとも言われていますが、真意は現在でもわかりません。
とはいえ、歌川広重が「東海道五十三次」を発表して以降、本作品は歌川広重の作品の中でも傑作と言われる程の名画となり、江戸に住む人々にとって外の世界に対する憧れを反映した作品として江戸に住む人々の心に突き刺さり、一大ムーブメントを巻き起こしていきます。

「東海道五十三次」一覧

実際に「東海道五十三次」を鑑賞するうえで大事なのが「東海道五十三次」の場所です。「東海道五十三次」がどこを舞台にしているのかと、見事な富士山が描かれている場所をご紹介します。



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起点 日本橋【朝の景】
1.品川宿【日の出】
2.川崎宿【六合渡舟】★富士山
3.神奈川宿【台之景】
4.保土ヶ谷宿【新町橋】
5.戸塚宿【元町別道】
6.藤沢宿【遊行寺】
7.平塚宿【縄手道】★富士山
8.大磯宿【虎ヶ雨】
9.小田原宿【酒匂川】
10.箱根宿【湖水図】★富士山
11.三島宿【朝霧】
12.沼津宿【黄昏図】
13.原宿【朝の富士】★富士山
14.吉原宿【左富士】★富士山
15.蒲原宿【夜の雪】
16.由比宿【薩多嶺】★富士山
17.興津宿【興津川】
18.江尻宿【三保遠望】
19.府中宿【安部川】
20.鞠子宿【丸子】
21.岡部宿【宇津之山】
22.藤枝宿【人馬継立】
23.島田宿【大井川駿岸】
24.金谷宿【大井川遠岸】
25.日坂宿【佐夜の中山】
26.掛川宿【秋葉山遠望】
27.袋井宿【出茶屋】
28.見附宿【天竜川図】
29.浜松宿【冬枯図】
30.舞阪宿【今切真景】★富士山
31.新居宿【渡舟図】
32.白須賀宿【汐見阪】
33.二川宿【猿が馬場】
34.吉田宿【豊川の橋】
35.御油宿【旅人留女】
36.赤坂宿【旅宿招待】
37.藤川宿【棒鼻図】
38.岡崎宿【矢矧橋】
39.池鯉鮒宿【首夏馬市】
40.鳴海宿【名物有松絞】
41.宮宿【熱田神事】
42.桑名宿【七里渡口】
43.四日市宿【三重川】
44.石薬師宿【石薬師寺】
45.庄野宿【白雨】
46.亀山宿【雪晴】
47.関宿【本陣早立】
48.坂下(阪之下)宿【筆捨山頂】
49.土山宿【春の雨】
50.水口宿【名物千瓢】
51.石部宿【目川の里】
52.草津宿【名物立場】
53.大津宿【走井茶屋】
終点 京都【三条大橋】

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「東海道五十三次」発表で何が生まれたか

「東海道五十三次」が発表され、江戸に一大ムーブメントが巻き起こった当時、葛飾北斎の描いた浮世絵「富岳三十六景」による浮世絵風景画の人気がありました。
それと同時に、十返舎一九(じゅっぺんじゃいっく)が描いた弥次喜多コンビが織り成す旅行記の滑稽本「東海道中膝栗毛」(とうかいどうちゅうひざくりげ)も発表されており、それも相まって江戸では旅行ブームが誕生しました。
「東海道五十三次」のブームにより、山岳信仰である富士山信仰や伊勢おかげ参りといった具合に、旅行ブームもどんどん加速してきます。

「東海道五十三次」は海を越えて…

そんな話題作「東海道五十三次」は海を越えて海外の日本愛好家たちによってさらに注目を浴びていきます。
日本でも有名な画家であるフィンセント・ファン・ゴッホは特に浮世絵の収集に熱心で、「東海道五十三次」も彼のコレクションにありました。

歌川広重の「東海道五十三次」を鑑賞したい!鑑賞ポイント3つ

現代の日本だけでなく、世界の人をも魅了し続けている歌川広重の「東海道五十三次」は、各地の展覧会に引っ張りだこ!
もしアナタが「東海道五十三次」を展覧会で鑑賞することになった場合、どの点に気を付けて鑑賞すれば良いのかポイントを3つご紹介します。



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1)西洋画の構成表現に注目!

なんといっても「東海道五十三次」を鑑賞する際にはとにかく構図に注目していただきたいところです。
これまでの浮世絵になかった遠近法が用いられているだけでなく、雨風を立体的に表現する描写はこれまでの浮世絵にはありませんでした。
江戸の人々は、「東海道五十三次」の構図や描写を通して、まるで自分が浮世絵を通してまだ見ぬ外の世界に旅行に行った気になっていたのです。

2)鮮やかな「HIROSIGEブルー」

歌川広重の浮世絵を語るに欠かせないのが、洗練された鮮やかな藍色使い。これは海外では「HIROSHIGEブルー」と称され、高く評価されています。
HIROSIGEブルーが誕生した背景には、海外から輸入された新しい顔料を木版画で使用したことで表現され藍色にありました。
木版画では、当時西洋画で主流だった油絵よりも鮮やかな色を出すことができたのです。
時代を経ても焦ることのない鮮やかな藍色が「東海道五十三次」で使われているのを見つけた際は、このことを思い出してみてください。

3)昔の「旅行本」だと思って観てみる

浮世絵は昔のテレビや雑誌、本と同じ役割を果たしていました。
なんといっても「東海道五十三次」がブームになってからは、他の作品の後押しもあり江戸時代でも旅行ブームが巻き起こっています。
昔の人々にとっての旅行本としての役割を果たしていたと思って「東海道五十三次」を眺めれば、また違った鑑賞後の気分を味わえるでしょう。



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まとめ:歌川広重の「東海道五十三次」は旅行した気分で楽しもう!

歌川広重の「東海道五十三次」は、当時の江戸の人々の旅行本としての役割を果たしていました。
また、木版画で作られた浮世絵ならではの鮮やかな色やこれまでになかった大胆な西洋スタイルの構図も相まって、今でも私たちの心を掴んで離しません。
歌川広重の「東海道五十三次」でアナタも旅行した気分で作品鑑賞を楽しんでみましょう。いつの間にか気分は当時の江戸時代です!

(寄稿)あさひなペコ

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