北朝鮮の漂着する木造船の真相~排他的経済水域(EEZ)とは

日本海



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2017年11月~12月にかけて、日本海沿岸の秋田や青森、佐渡島などにこれまでにない規模で北朝鮮からと考えられる木造船が多数漂着し、中には生存者や遺体なども見つかりました。
冬の海は、日本海に限らずとても荒れます。
遭難した船のすべてが漂着すると言う事でもありませんので、実際に、北朝鮮に戻れていない木造船などは、日本にたどり着いた何倍もあると推測できます。
一説によりますと、10%は戻らないのではと言う話もあるくらいです。

しかし、北朝鮮と思われる人々は、なぜ、そんな危険を冒してまで、日本海に船を出すのでしょう?


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経済が破綻し、食糧配給も行われなくなった北朝鮮では、軍の兵士の栄養状態も悪く、皆、やせ細っています。
心配するる兵士の親が、部隊に面会に行っっては、送金したりする事例が増えています。
また、部隊から近くの民家に食料を預け、兵士は外出した際にその民家に寄って差し入れを食べるとも言います。
しかし、その食料も「速度戦粉」と言う、トウモロコシ粉を加熱したもので餅のようになる簡単なインスタント食品です。

北朝鮮の月給や電気事情

北朝鮮にて首都・平壌に住んでいる国民は、平均で月給5000円程度、年収60000円と推定されているようです。
しかし、日本でも平均年収を越えている地域は東京だけで、他の都道府県では日本の平均年収以下であるのと同じでして、平壌以外での月給・年収は下がります。
北朝鮮の農民における平均年収は1万円程度と見られています。
日給に換算すると27円です。

電気も、農村で1年間に使用している電力は、韓国家庭の2~3日分にすぎないといいます。
我々日本人からしますと、毎晩、暗い中で過ごすと言う事自体、想像できません。
ほぼ毎日ですからね。
電気は軍需工場や平壌を優先に使われます。
家庭での電気料金は月額固定で1ヶ月33北朝鮮ウォン(約0.5円)だったようですが、最近は従量制となり、ソーラーパネルで自家発電した電気ですら、電気代を取られると言います。
しかも、新しい電気メーターの設置代金として約3000円取られるそうです。
本来であれば電気メーターは、電力会社や国家が負担して設置するものです。
平壌の家庭などで電気が使えても、1日1時間など限られた間にしか、通電しないと言います。

2014年に韓国国防省が発表した数値によりますと、朝鮮人民軍で最も下級の兵士の月給は、たったの月額約9円です。
食堂でご飯を食べるにしても、小さい器に入った子供用の冷麺1杯分にしかならないそうです。
仕官クラスでも月給78円ですが、基本的には軍人であれば3食支給されて、衣類なども渡されますので、余計なお金は掛かりません。
しかし、その食料は軍にも配給が十分ではないため、軍も毎日食べていくために、自ら自給自足を迫られています。

この食料確保の手段のひとつで、記帳なのが水産資源「漁業」であり、個人が造ったり所有している漁船(木造船)を、軍の部隊に登録させているようです。
そのため、朝鮮人民軍第854軍部隊と言うようなプレートが木造船についている模様です。

もちろん、軍以外にも、あらゆる団体に所属船の仕組みがありますので、逆に軍のプレートがついていない木造船もあります。

そして、軍から配給をもらうために登録した国民は、月間にどれだけイカを獲ってこいなどと、ノルマを課せられます。
家族を養うためには、多少の危険があったとしても、海に出るしかないのです。

大和堆(やまとたい)と言う漁場は、浅くてプランクトンが豊富であり、たくさんの魚が集まっている良好な海域です。
しかし、日本の排他的経済水域(EEZ)内にあります。

排他的経済水域(EEZ)

排他的経済水域(はいたてき-けいざいすいいき)(EEZ)の説明をする前に、領海について記載したいと存じます。

領海と言うのは、沿岸から最大12カイリ(約22km)と国際法で定められており、沿岸国の主権がおよぶ範囲となります。
主権が及ぶと言うのは陸上と同じ意味を持ちますが、海上に限って、外国船舶は和や安全に害を与えなければ外、安全に通航する権利を有しています。

しかし、EEZの範囲と言うのは、沿岸国が基本的には自由に法律で距離を定めることができます。
ただし「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)」で、領海の外側に領海の基線から200海里(370.4km)を超えない範囲内の設定とされていることから、日本の場合にも、その上限200カイリ(約370km)と法律で定めています。
そして、EEZの範囲では、どこの国の船舶であろうと、航行の自由は保障されています。
そのため、北朝鮮の小型船であろうと、EEZの区域を航海するだけでしたら、問題はありません。
しかし、経済的主権を脅かす行為は禁止です。
例えば、他国が人工島を作ったり、海底資源を獲ったり、測量をしたり、許可なく魚を捕獲したりするのは、相手国に経済的損失を与えますので、許可が必要な場合があります。
よって、北朝鮮の木造船が、日本の排他的経済水域にて操業するのは、日本の法律に違反する行為となります。

2017年に松前小島(まつまえこじま)に上陸して、小屋から発電機のエンジンや配電盤からドアノブまで盗んだ、自称北朝鮮国籍の10名は、それらを本国に持ち帰ってお金に変えては、山分けしようと考えていたと供述しています。
被害総額は、灯台のソーラーパネルも含めると1000万円を超えると言います。
誰が補償してくれるのでしょうか?
給料の安い当事者が払える額でもないでしょう。
保護された10名(一部は逮捕者も)の毎日の弁当代も、人道的にはやむを得ないとは言え、日本国民の税金が使われる訳です。

日本海沿岸に漂着する木造船の残骸にしても、一艘を処分するのには30万円~100万円と言う撤去・処分費用が掛かります。
当然、日本国民の税金が使われる訳です。

海上保安庁が取り締まりを強化するとしても、もちろん、多額な税金が投入されます。

2017年の冬に、急激に遭難する船が増えているのは、北朝鮮が号令を掛けたからとも言われていますが、それだけ北朝鮮も食糧事情が悪く、追い詰められていると言えるかと存じます。
大和堆で日本の漁船も危険にさらされており、日本にとって良い話はひとつもありません。

しかも、あれだけの生存者も小さな船で日本にたどり着いているとなると、もし、争い事となりましたら、北朝鮮から難民がたくさん日本海を渡ってきても、おかしくないです。
そんな難民がまた、窃盗などをすると考えますと、恐ろしいですね。

日本海

なお、韓国が日本海の事を「東海」(トンヘ)と違う名称を主張していますが、そもそも、日本海と名前を付けたのは、ロシア海軍のクルーゼンシュテルン提督(1770年~1846年)であり、日本人ではありません。
ちなみに北朝鮮に至っては、日本海の事を「朝鮮東海」(チョソントンヘ)と記載しています。
アメリカは、Sea of Japan。
ロシアも日本海の意味で記載しており、中国は東シナ海を「東海」と表記していることからも「日本海」のままです。

日本海と明記するのは、国際ルールに則ったもので、国連も日本海が標準的だとしています。
我々が韓国のことを高麗や南朝鮮などと記載せずに、標準的な表現である「韓国」としてここでも記載しているのと同じでして、そもそも、このように説明を記述しなくてはならないのは、小生も本意ではありません。



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中国の古典にある言葉で「経世済民」(けいせいさいみん)と言い、世を治めて民を救うと意味で使われます。
この言葉が明治維新を迎えた日本では「経済」として使われるようになりました。
しかし、そのような本当の意味での国民のためになっていない政治は、どこの国にもあるかも知れません。
だからと申しまして、他人に迷惑かけたり、自分の主張だけをすると言うのは頂けないかと存じます。
拉致被害者の件と言い、このような国際問題が一日でも早く解決することをせつに望む次第です。

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高田哲哉日本の歴史研究家

投稿者プロフィール

高田哲哉と申します。
20年以上、歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して史跡も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

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