航空自衛隊F-35Aステルス戦闘機の優位性とスクランブルの適正は?

f-35a



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2017年6月5日に、日本国内で最終組み立てと検査を行った、航空自衛隊に納入される次期主力戦闘機F-35Aの初号機がお披露目されました。
なお、日本向けのF-34Aの1号機から4号機はアメリカで生産されましたので、このお披露目に搭乗した機体は5号機と言うのが実際です。
ただし、国内生産としては初号機となりました。

現在、1機だいたい100億円くらいでして、F-15Jとそんなに価格も変わりないくらいまで、値段も下がってきましたので、その意味ではお得感があるかも知れません。
アメリカ以外で他にF-35を生産している工場はあとイタリアにしかありません。

なお、日本でF-35Aを製造したとしても、搭乗するパイロットの初期訓練はアメリカで行いますので、しばらくは、アメリカに逆空輸して、アリゾナ州のルーク空軍基地などで、訓練が行われます。
そのため、航空自衛隊パイロットや整備員もアメリカに渡って訓練に挑みます。


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そして、2018年に日本の三沢基地に戻されて、F-35Aが配備されます。
なお、2018年に配備されても、すぐに実戦には投入されません。
と申しますのは、F-35Aが10機程度そろうまでは、まだ部隊として運用できないのです。
ひたすら訓練の日々が続きます。

2017年現時点での航空自衛隊・戦闘機部隊の飛行隊は13個あります。
定数は全体で280機です。
いち飛行隊、当たり約20機となります。

要するに、常時行動できる機体は、1部隊で常時16機程度必要で、残りの4~5機は整備・点検する形で運用するので、いち飛行隊として約21機必要と言う事になります。
アメリカ空軍の場合は戦闘飛行隊は約24機、アメリカ海兵隊やアメリカ海軍(空母艦載機の飛行隊)は12機が概ね定数となります。

このように、航空自衛隊の場合、20機にならないと、ひとつの飛行隊として機能開始できないので、過去のF-15、F-4のときを見ても、1号機納入から、実戦運用まで3年(4年)は掛かります。
よって、F-35Aの部隊が本格的に運用開始されるのは、2020年と言う事になるでしょう。

今のところ、航空自衛隊ではF-35を42機購入する予定ですので、2飛行隊で運用しようと考えているのでしょう。
となると、三沢基地の次は、F-4偵察機との置き換えと言う意味で首都防衛の百里基地か、東シナ海に備えて新田原になるかも知れません。



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なお、F-35Aが最新鋭だから最も緊迫している南西諸島警戒のため、那覇基地や新田原基地に、優先配備すると言う事でもありません。
現状として、航空自衛隊の戦闘機部隊の主な任務としては、日本近海に出現する第3国の航空機に対応するものとなります。
要するに領空侵犯しかねない、身元不明の航空機に対するスクランブル発進(緊急発進)ですね。

このような領空侵犯警戒任務(アラート任務)においては、日本の領空に迫ってくる他国機に、警戒のために航空自衛隊の戦闘機が向かっているぞと、相手航空機のレーダーに映り、相手のパイロットに認知させる必要性があります。
そのため、現状としては、きちんと、レーダーに映る、F-15J戦闘機でスクランブル発進するのが最適です。
航空自衛隊に配備されるF-35Aは、レーダーに映りにくいステルス戦闘機で状況認識力に優れています。
そのため、F-35Aでスクランブルする場合には、レーダーリフレクターと言う、レーダーに発見される板を、F-35機体の上下と両翼にわざわざ装備して飛ぶと言う、ステルス性を捨てた行動が必要となります。
それでしたら、わざわざ、F-35Aで飛んで行く必要性は必ずしもないのです。
ただ、実際にはパイロットの訓練も兼ねて、F-35Aを緊急発進させる可能性はもちろんあります。



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しかし、F-35ライトニングIIやF-22ラプターのようなステルス戦闘機に最適な戦術としては、そもそも、相手に発見されない距離(有視界距離外)から中距離ミサイル・長距離ミサイルで先制攻撃して、自機の損失を防ぐと言うのが主な任務となります。
短距離空対空ミサイルや、短距離の対艦ミサイル・短距離の対地兵器を搭載することはあまり考えられません。
遠距離から気が付かれずに攻撃するので、飛行機として飛ぶ速度(スピード)、特に敵機から逃げる必要性がないので、特別に速いspeedは求められませんが、それでも性能は良いです。
F-35Aの最高速度もマッパ1.6です。
マッハ2.5のF-15イーグルと比べると、一見、遅いように見えますが、至近距離で戦闘が想定されたとしても、実戦で必要とされる速度はM1.5程度と言われています。
そのM1.5はクリアしていますし、実際のF-35Aは、加速性能もあり、実際にはマッハ2を超えるエンジン性能(パワー)も有していますが、機体の中にミサイルを搭載していると言う構造もあり、あえて1.6と言う印象を受けます。
F-15の巡航速度はマッハ0.9(時速1102km)ともされますが、F-35の巡航速度はマッハ1.2(1469km/h)で、事実上は速度性能が良いと言えます。

このように、F-15などに求められているドッグファイト任務と、F-35での迎撃方法は異なるため、沖縄などの最前線へ最初から配備されると言う事でなく、後方とも言える三沢基地に配備されて、偵察任務などしばらく温存されます。
最新鋭でいいだろうと、簡単にF-35をスクランブルさせて、第3国に、どのくらいの距離でF-35を発見できるなど、テストされたりデータを取られるのも、現時点では控えなくてなりません。



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また、今のところ、ミッションソフトウェアと言う攻撃に使用するソフトが、日本のF-15Aは、ブロック3Iのため、短距離攻撃ができない状態です。
このソフトは、2017年秋に完成する予定のブロック3Fにバージョンアップすることで、多用途戦闘機としてほぼ完全な戦闘能力を有する形となっており、防衛省もアメリカとの契約の際に、ブロック3Fにて引き渡されることを確認しています。

しばらくは、F-4EJ改との機種更新が中心になると思いますが、航空自衛隊からF-15がすべてF-35Aに代替えとなるのも、問題です。
戦争にならない限り、領空侵犯機に対応するスクランブル(緊急発進)が主任務ですので、その場合、F-35では、もったいないと言う話になります。

一方、陸上自衛隊が導入するV-22オスプレイは、どうも、エンジンに問題があり、エンジン故障が当初の想定よりも多いようです。
エンジンオイルの交換も頻繁に必要な状態であり、エンジンに若干の不安要素があります。
しかし、メンテナンスさえしっかりできていれば、実戦運用は問題ありません。

もっとも、日本に対して、敵対意識を持つ国がなければ、こんな高価な兵器も備える必要がない訳でして、そんな争いが無い、平和な世の中になって欲しいものです。



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機体番号は「79-8705」で、三菱重工業(小牧南工場)が組み立てを担当した国内製造の初号機のF-35Aが、2019年4月9日19時27分頃、青森県沖の太平洋上に墜落しました。
F-4EJの運用を終えて百里基地から三沢基地へ移動し3月26日に発足した、第302飛行隊(F-35A飛行隊)の所属で、隊長は中野義人2等空佐(41歳)です。
Knock it off(ノック・イット・オフ)=訓練を中止すると、伝えたあと、レーダーから消えたとの事です。
訓練中の4機は、夜間で尚且つ、有視界ではなかったようで、墜落には気が付きませんでした。
不明の3等空佐パイロットの名前は公開・発表されていませんが、訓練4機の編隊長(1番機)だった模様です。
その後、細見彰里(あきのり)3等空佐(41歳)と発表されました。
現時点では、行方不明のパイロットの安否がわかっていませんが、無事であることを願うばかりです。

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高田哲哉日本の歴史研究家

投稿者プロフィール

高田哲哉と申します。
20年以上、歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して史跡も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

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