西郷琴と市来正之丞~西郷隆盛の妹で西郷家の長女である西郷コト・市来琴の生涯

西郷琴



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西郷琴(さいごう-こと)は、1832年に薩摩藩士・西郷吉兵衛と、その妻・西郷満佐子(西郷マサ)の間に生まれた長女となります。
兄の西郷隆盛(西郷隆永・西郷吉之助)から5歳年下の妹となりますが、どんな生涯を送ったのか?、調べられるだけ調べてみました。

年代は不明ですが、1852年に亡くなった父・西郷吉兵衛の存命中に、薩摩藩士で島津斉彬の側近である市来正之丞に嫁ぎ、市来琴(いちき-こと)と名を改めます。
しかし、兄・西郷隆盛が多忙で、家を空けることが多かったため、嫁いでからも西郷家の屋敷に赴いては、兄弟の面倒を見ていたとされます。

市来正之丞(いちきしょうのじょう)は1822年の生まれで、名を市来政清と言いました。
五代友厚が主導した慶応3年(1867年)の「パリ万博博覧会」では「薩摩琉球国」の出展のため、岩下方平らとヨーロッパに渡っています。


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また、西郷隆盛は、1858年に島津斉彬が亡くなるまで、市来正之丞に対して出した手紙は10通前後確認できています。

なお、西郷コト(市来琴)の子供としては、3人説と5人説など諸説あります。
その3人説でご紹介しますと、1849年生まれの市来宗介(いちき-そうすけ)、生年不明ですが弟の市来宗五郎(いちき-そうごろう)、安政3年(1856年)には市来勘六を生んでいます。
5人説では、弘化4年(1847年)頃に長男・市来嘉納次、1849頃に次男・市来宗介、1856年頃に三男・市来勘六、安政6年(1859年)11月13日に四男・市来政方(まさかた)、万延元年(1860年)頃に五男・市来宗五郎が誕生したとあります。
諸説あり、西郷コトが嫁いだのは、1852年とする説もありますので、継室のような形での結婚だった可能性も捨てきれません。

市来嘉納次は、慶応4年(明治元年・1868年)の戊辰戦争の際に越後にて戦死しました。享年21歳。

市来宗介(23歳)は、明治5年(1872年)2月28日に、西郷隆盛と愛加那の子である西郷菊次郎(11歳)を連れてアメリカ留学に出発しています。
市来勘六は、明治4年に東京築地の海軍兵学寮(海軍学校)に入学したとあります。

なお、西郷琴(市来琴)の夫である市来正之丞(いちき-まさのじょう、とも言う)(市来政清)は、前述したとおり、1867年のパリ万国博覧会にて、日本使節団の一員としてその名が見受けられますが、明治7年(明治6年とも?)に死去したとされます。

市来宗介と市来宗五郎は、明治10年(1877年)の西南戦争の際に、西郷隆盛の薩軍に加わりましたが、市来宗五郎は熊本山鹿での政府軍との戦いで討死。(17歳)
兄・市来宗介は、西郷隆盛とともに鹿児島へ戻って最後まで城山にて籠城し、1877年9月24日の城山総攻撃の際に死去しました。
市来宗介は討死したとも捕縛後に斬首されたとも言われています。(28歳)

城山陥落の際に市来宗介から形見として預かった「懐中時計」を、従卒・末吉兄弟が、市来コトが避難していた市来郷養母村田代(日置市東市来町養母)まで届けています。

なお、市来宗介と市来宗五郎の墓は、南洲墓地の西郷隆盛の墓のすぐ後ろに、西郷小兵衛の墓をはさんで改葬されています。

その後、明治22年(1889年)に西郷隆盛の罪が赦免されると、市来琴子は妹の大山安子(大山巌の兄嫁)とともに上京したようですが、その後の生活はよくわかっていません。
市来琴は、1913年(大正2年)に亡くなりました。享年80。



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子の市来政方は、外交官を務めたあと宮内庁に入って、のち宮中顧問官を担当しました。大正13年没で64歳です。

2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」では、女優の桜庭ななみさんが演じられます。

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高田哲哉日本の歴史研究家

投稿者プロフィール

高田哲哉と申します。
20年以上、歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して史跡も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

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