真田範之助の解説【八王子出身の剣豪】天然理心流と北辰一刀流の志士

真田範之助



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真田範之助とは

真田範之助(さなだ-はんのすけ)は、幕末の剣術家で、2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」では、俳優の板橋駿谷さんが演じられます。
武者修行で、尾高の道場に手合わせを挑んだ際に、渋沢栄一たちとの友情が生まれると言う設定のようです。
実際の真田範之助は、八王子・左入村の豪農・小峰久次郎の長男として、江戸時代末期の天保5年(1834年)に生まれました。

真田範之助

左入(さにゅう)の場所は、中央道の八王子ICがある付近で、名主も務めていた小峰家は、多摩川の辺りまで広大な土地を所有していたようです。
父・小峰久次郎、八王子千人同心の増田蔵六から、天然理心流の剣術を学び、免許皆伝の腕前でした。
小峰範之介(小峰軍司)も、屋敷にある道場で、幼いころから剣に励んだようですが、小峰範之介(小峰軍司)と、弟・小峰松之助は、高木家に養子に出されました。
逆に、小峰家は、高木家から養子を受けています。



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19歳のとき、高木範之介は戸吹村で天然理心流の道場を開いていた、松崎和多五郎(松崎正作の子)に入門しました。
戸吹村(あきる野ICの南側)は、増田蔵六の故郷であり、増田蔵六系・松崎系と分類される天然理心流です。
ちなみに、天然理心流を学んだ「近藤勇」(新選組局長)も、同じ1834年生まれですが、江戸・牛込の近藤系・天然理心流剣術道場「試衛場」(試衛館)に入門しています。
<注釈> 近藤勇の養子・近藤勇五郎は、江戸の近藤系は、浪士組に参加して京に行ったため、天然理心流を松崎和多五郎から学んでいます。

また、高木範之介は、下恩方村の山本万次郎からも天然理心流の剣術を習いますが、更には、江戸に出て北辰一刀流の玄武館にも入っています。
坂本龍馬伊東甲子太郎も、北辰一刀流ですが、年齢は、真田範之助が1歳年上です。
このように、玄武館には、各藩の藩士も修行していたことから、各地の志士とも交流を持つようになったようです。
千葉周作のあとを継いだ、千葉栄次郎のときに、真田範之助は塾頭にもなっていますが、その頃から「真田」を称しています。
そして、関東一円の剣豪や道場を訪ねては、武者修行を行った模様です。
千葉道場には、渋沢栄一も入門しており、尊王攘夷に傾むくと、1863年、真田範之助は、尾高藍高・渋沢栄一らの慷概組(こうがいぐみ)に加わる予定となりました。
佐藤継助、竹内錬太郎、横川勇太郎らも加わろうとしたようです。
しかし、慷概組は、計画には無理があるとして、行動を中止したため、憤慨した渋沢栄一は、京へ上っています。



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天狗党へ参加するも

千葉周作は、水戸藩剣術師範になっていたことからも、千葉道場は水戸との縁が深いです。
真田範之助は、武田耕雲斎などとも交流があり、1864年3月、水戸藩士が挙兵した「天狗党」に横川左馬太郎らと参加しました。
しかし、天狗党は、乱暴狼藉も多く、水戸藩内の攘夷派・保守派の争いにもなったため、真田範之助は別行動を取りました。
横浜の異人を襲撃するため、仲間を連れて、利根川を下って鹿島に向かいましたが、幕府勢と交戦となり、敗れて解散しています。

その後、真田範之助は江戸に潜伏して、機会を狙いますが、新徴組に命を狙われました。
江戸幕府は浪士組を結成させて、京にのぼらせましたが、近藤勇らは新選組として京に残り、江戸にもどっていた浪士組を再組織したのが、新徴組(しんちょうぐみ)で、庄内藩主・酒井忠篤が指揮していました。

江戸・深川(永代橋)の水戸舟屋敷ともされますが、小林権左衛門が匿っていました。
<注釈> 小林権左衛門の娘が、千葉栄次郎の妻であったので、顔見知りだった模様。
しかし、1864年10月16日、新徴組6名に包囲され、真田範之介は、命を落としました。享年31。
亡骸には21箇所の傷があったとされますが、これは、深手の傷をなかなか負わずに、長い時間、奮戦したためとされています。
遺体は、罪人が葬られていた、千住小塚原の回向院下屋敷に運ばれたようです。



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弟・小峰松之助は、兄の仇を取ろうとしています。
鳥羽伏見の戦いのあと、新選組の近藤勇は、甲州街道を江戸に向けて進軍する新政府軍と「勝沼の戦い」で敗れます。
敗走する近藤勇が、八王子の浅川「大和田の渡し」を渡ろうとした際に、たまたま見かけた弟・小峰松之助は近藤勇を襲撃しました。
<注釈> 近藤勇は、兄・真田範之助の殺害には全く関与していませんので、15歳だったとされる弟・小峰松之助の勘違いだったようで、刀で斬りつけるも、一太刀もかすらなかったと言います。

現在、高木家の庭先には「真田範之介誕生の地」と言う石碑が建立されているとの事です。

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高田哲哉日本の歴史研究家

投稿者プロフィール

高田哲哉と申します。
20年以上、歴史上の人物を調査している研究家です。
日本全国に出張して史跡も取材させて頂いております。
資格は国内旅行地理検定2級、小型船舶操縦士1級など。

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コメント

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  • コメント (1)

    • 近々代史趣味人
    • 2021年 3月 18日

    定年後も契約社員として働いている地方人ですが初めて、紹介コメントを拝読し敬服します。論理的に実証感ある記事に興味が沸きました。実は私は11才から剣道を始め、その道へ(警察官)進むか他の職業人になるか悩んだ青春(笑)時期がありました。ドラマ→演出→史実→事実に関心が昔からありました。


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